どうする?いらない土地の相続

 地方に一人で住んでいる親御さんが亡くなり、相続が発生した時に相続財産の中に住む予定もない自分にとって不要な土地が含まれる場合もあります。都心に生活の拠点がある相続人にとって、田舎の土地の相続が大きな問題になることはめずらしくありません。

 不要な土地であっても、相続すれば持っているだけで毎年、固定資産税が課されます。ご実家を相続しても、ご自身にとっては不要で、できれば手放したいと考えている場合、必要のない土地の所有権だけを放棄する方法は現時点ではありません。唯一放棄できる方法は相続開始から一定期間内に家庭裁判所において、全ての相続財産を放棄する「相続放棄」の手続きをするしか方法はありません。

 

 しかし、全相続財産の相続を放棄することになりますので相続財産が主に必要のない土地だけという場合や、ほかに借金がある場合など利用は限られた場合だけになります。現実的な手放す方法としては、売却、譲渡、寄付の3つになります。その中では売却することが一番良い方法ですが、立地条件が悪く買い手が見つからないなど、売却が難しい場合には譲渡、もしくは寄付を検討しなければなりません。譲渡は、たとえば隣家や隣接している幼稚園などに対しての提案になりますが、無償の譲渡であれば先方にも敷地拡大によるメリットがあるかもしれません。しかし、この場合、譲渡された方に贈与税がかかることに注意が必要です。譲渡が難しければ国や自治体に寄付を申し出る方法もあります。しかしながら道路拡張など公共利用の目的がない限り原則的に土地の寄付は受け付けてもらえないのが現状です。

 

 このように、現在の制度では、相続した利用価値の低い土地を手放すことは非常に難しい状況です。そのために相続が発生しても不要な土地は分割協議せずに、亡くなった方の名義のまま放置され、何度かの相続により相続人が増えて所有者不明になる土地が多く発生しています。その対策として2021年4月に『相続土地国庫帰属法』が制定されました。制度の運用開始(施行)は2023年4月頃の予定で少し先ですが、施行されると相続登記の義務化(相続から3年以内)と共に、一定の要件を満たし費用を負担すれば、相続した土地を手放せるようになります。まだ要件の詳細は公表されていませんが、法制審議会において要件を厳しくしすぎると本制度が利用されなくなり、政策目的を達成することができなくなるとの意見もあり、この点が考慮され要件の詳細や、審査に関する書類等が決定されていくと思われます。

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