どうする?相続放棄した車の処分

(2022年4月1日現在の法令に基づいて解説しています)

 亡くなったご家族の財産に対して相続放棄していても、故人の車の処分をうかつに行うと「単純相続」した事になり、せっかくの相続放棄が無効になる場合があります。通常、車は財産と見なされるため相続人の中から決まった人が相続を受けます。相続を受けた人が所有者となって車の使用や管理、廃車手続きなどを行います。

 しかし、相続人が相続放棄をした場合の自動車の処分については法的に明確な決まりはありませんが、処分の仕方次第で「単純承認」となるのです。法律でハッキリと決まっているのは「相続人が相続財産の全部又は一部を処分した場合は、その相続を単純承認したものとみなす」という事だけです。相続放棄は相続開始の事実を知った日から3ヶ月以内に行わなければ、相続を受け入れる意思があるという「単純承認」として見なされてしまいます。

 相続放棄の手続きをしても、放棄の前後に財産の一部でも利用または処分などした場合、単純承認と見なされる事があります。そのような場合には相続放棄が無効とされ、財産の管理責任を負うことになります。従って相続放棄をした場合、財産的価値のある車を勝手に廃車にする事は出来ないのです。しかしながら、相続放棄したとはいえ、税金や駐車場代など金銭的負担が掛かる事もあり、故人の車を廃車せずにずっと放置しておく訳にはいきません。

 特に厄介なのは自動車税です。自動車税は毎年4月時点での車の所有者に課せられます。廃車手続きをしない限り所有者が亡くなっても自動車税の納付通知は届きます。故人の車の税金の支払いとはいえ故人の預貯金から支払いを行うと単純承認と見なされてしまう可能性があり、仕方なく相続放棄した元相続人が自分のお金で支払うケースもあります。

 では、相続放棄した故人の車を廃車にしたい場合、どうしたら良いのでしょうか。そもそも普通車の場合は、相続の手続きをしなければ廃車にする事が出来ません。軽自動車の場合は名義変更を行えば廃車も可能ですが、名義変更の時点で単純承認と見なされる可能性があります。このように、相続放棄後の車の処分は非常に難しいのです。

 最初に確認しなければいけないのは、車の価値の有無です。運輸支局に新車として登録されてから5年以上経過している車については、財産的価値が無いとされています。つまり、遺産相続の際の「財産」には当たらないと判断されるケースが多いのです。そのような場合は、故人の車を廃車にしたとしても財産の処分には当たりませんので、相続放棄をした人でも処分が出来ます。その後のトラブルを防ぐためには買い取り業者や自動車査定協会(有料)に査定を依頼して査定書などで価値が無い事を証明してもらうのが確実です。故人の車に財産的価値がある場合は、相続放棄をした人が廃車の手続きをしてはいけません。

 その場合、一番トラブルが少ないのが相続財産管理人を立てる方法です。相続財産管理人を立てれば、相続人のいない車の税金の支払いや廃車手続きなどをしっかりと行ってくれます。相続財産管理人については、別の機会に詳しく説明しますが、相続財産管理人の選定には費用が掛かるため、元相続人の中で費用をどのように負担するのかなどを決めておく必要があります。相続放棄をした車が、まだローン返済の途中であるという場合もあります。その場合、使用者が故人、所有者がローン会社やディーラーになっているケースが多いのです。これを所有権保留と言いますが、このケースでは車は故人の物ではないため、相続財産には含まれません。ディーラーに連絡を取り、当該車をディーラーに引き渡し、その後の廃車等の手続きの必要はありません。しかし、銀行などのマイカーローンの場合、返済中であっても故人名義になっているケースがあり、車検証の所有者欄をチェックして所有者が誰になっているのかを確認する必要があります。故人名義の場合は相続財産として見なされるため、相続放棄をした人は廃車にする事が出来ません。

 車にローンが残っている場合には速やかにローン会社またはディーラーに連絡をしましょう。また、自動車保険の解約も忘れずに行わなければいけません。その場合、相続人となる人が契約者変更を行い、解約意思を表示することで解約をすることができますが、相続放棄を行う場合には、このような手続きを行うことで単純承認とみなされてしまう可能性がありますので注意が必要です。相続放棄を行った場合、車をどう処分するのかに関して現行の法律の規定は非常に曖昧です。

 相続放棄した場合には、財産的に価値のある車の処分は専門家に相談しながら慎重に行う事をお勧めします。ご自身の相続において、相続人からの相続放棄が予想される場合には生きているうちに終活としてお手持ちの車両や船舶等を早めに処分してしまう等の対策をしておくことがご家族に対する思いやりの一つかもしれません。相続放棄や相続放棄後の対応で、ご心配な場合には是非当社にご相談ください。

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